GICミャンマー代表の小林です。
今回は2025年入ってからミャンマーで起きた2つの大きな出来事についてお伝えします。(更新年月:2025年01月15日)
1)サイバーセキュリティ法の施行
VPN(仮想プライベート・ネットワーク)や違法なオンラインギャンブルを提供した個人や団体に罰則を科すサイバーセキュリティ法を2025年1月1日に施行。
(解説)
2021年2月のクーデター以降、反政府勢力の情報拡散を恐れる軍評議会(SAC)はFaceBookやX(旧Twitter)などのSNSや一部Webサイトのミャンマー国内からの利用を規制してきましたが、多くの国民はVPNを使って規制を回避していました。2024年5月からは、VPN利用を制限するファイアウォール技術を中国から導入して規制を強化しました。現在は、多くのVPNサービスがミャンマー国内で利用できなくなっており、一部VPNサービスのみ利用できる状況(ISPによって規制状況が異なる)になっています。
これまで、VPNの規制には法的根拠はありませんでしたが、今回のサイバーセキュリティ法の施行により、VPNを無許可で利用した場合、罰則が科せられるリスクが高まりました。VPNを利用していた多くの日系企業では、代替手段の検討に迫られています。
2)電力の大幅不足
ヤンゴン電力供給公社(YESC)は2025年1月5日、同日から1日16時間の停電を実施すると発表。その後も状況に改善がみられないとして1月11日から1日20時間停電(4時間給電)に制限中。軍評議会はTVで節電・節水(ミャンマーでは電気がないと生活用水を汲み上げられない住居が多い)を呼び掛けている。
(解説)
エーヤワディー地区のパティン(ミャンマー第4の都市)では1日3時間しか給電されていないと報道されており、ミャンマー全土で電力供給がひっ迫しています。電力の発電/給電量は、電力需要の半分にも満たないと言われており、短期的には改善が望めない状況です。
企業は事業継続のため自家発電に頼らざるを得ず、運営コストの上昇で収益が圧迫され、個人事業は自家発電を持たないところが多く事業継続の困難に直面しています。
停電対策として比較安価なポータブル電源の需要が急増していますが、1日4時間給電では夜間の最低限の対応となり、夜間をロウソクで過ごす家庭も多いと思われます。
1月はヤンゴンの夜間・早朝の気温は20℃程度まで下がりエアコンなしでも過ごすことができますが、3月以降、暑気に入ると熱中症などで体調を崩す人が増加することが懸念されます。
最後に入国情報のアップデートです。2024年10月21日より1年間を試行期間として、観光目的でネーピードー、ヤンゴン及びマンダレー国際空港から入国する一般旅券を所持する日本国民に対して、Tourist Visa on Arrival(到着時観光ビザ)が開始され入国が容易になっています。到着時観光ビザの概要は以下のとおりです。
- 空港到着後、到着時観光ビザの申請書に記入。
- カラー写真2枚が必要(1.2×1.5インチ(約3cm×4cm))。
- 写真を持参していない場合、自動写真撮影機で撮影可(5USD)
- ビザ料金50USD(USD現金のみでJPYやMMKでの支払いは不可)。
- 滞在日数は30日。観光のみ対象。
- パスポートの残存有効期間が最低6ヶ月必要。
- 滞在期間延長は不可で、オーバーステイとなった場合は罰則金が課される。
- 申請時、滞在ホテルの予約票および帰り(出国時)チケットの提示が必要。
当社では、ミャンマーの最新ニュースや政府方針の影響分析に加え、現地ネットワークを駆使した独自の視点で、他では得られないミャンマー市場に関する重要な情報を随時更新しています。市場の動向を把握し、ビジネスに活用できる情報を得るために、ぜひご覧ください。