2024年、初めて外国人ITエンジニアの採用に踏み切った株式会社エイ・ティ情報研様。人材不足の中で、これまでの日本人採用に加え、海外人材の活用という新たな一歩を踏み出しました。
今回は、実際に採用されたミャンマー人エンジニアの活躍や採用プロセス、そして多様性あるチームづくりへの想いについて、株式会社エイ・ティ情報研、代表取締役 麻井智江様にお話を伺いました。

1. 会社紹介と外国人採用の背景
Q1. 貴社の事業内容と、外国人エンジニアの採用に取り組むようになった背景を教えてください。
A1. 弊社は石川県金沢市に本社があるソフトウェア開発の会社です。東京にもオフィスがあります。柱のビジネスはOracleDBの設計・構築などのソリューションサービスです。
どの企業でも言われているように、現在人手不足が顕著になっており、弊社でも重要課題と認識しています。年々、採用が厳しくなってきている中で、人材が採用できないことによる組織の縮小化に不安を感じていました。
そんなタイミングで、ご縁があってGIC岩永社長とお話しする機会がありました。
岩永社長のお話しの中で、「ミャンマー国内は、今紛争が起きていて、優秀な若者たちが将来を不安視している。本当に優秀な人材がたくさんいる。日本で働いてもらえれば、絶対に力になれる人材が豊富にいる」とおっしゃっていたことをきっかけに、弊社内で「人手不足を解決するために、外国人採用にチャレンジする良い機会なのではないか」と前向きな意見が出ました。
また、ミャンマー人の方々が素晴らしいと感じるのは、ミャンマー国内に残してきた家族のために節約をし、毎月仕送りをして、若いうちから家族を支えている、ということです。ミャンマー国内の情勢等もあり、私たちがミャンマーの方々を支え、そして日本も支えてもらう、そんな関係が作れる、社会貢献に繋がるのではないか、ということで、意見がまとまり、初めての外国人採用、そしてミャンマー人材の採用へと踏み切りました。
2. 外国人採用のきっかけとGICとの出会い
Q2. GICのサービスをご利用いただいたきっかけや決め手を教えてください。
A2. 知人からの紹介というのもあり、他手段との比較はしませんでした。
コンサル料金も高くはなかったので、チャレンジしやすいサービス内容でした。
弊社を担当してくださったディジーさんが優秀で、とても真摯に対応してくださるので、良い人すぎて、何か裏があるのではないかと最初は疑ったくらいです(笑) ただ、どこまでいっても親切丁寧で、「これは本当に、弊社を大切に扱ってくださっているんだ」と、認めざるを得なかったです。
また、何より驚いたのは、GICさんにはできないことはないんじゃないか、と思うくらい、サービスが豊富なことです。
弊社はjavaやC言語を使った仕事もありますが、一番力を入れているのは、OracleDBの技術です。できれば、内定者教育期間(来日準備期間)はOracleDBの知識を得てほしいと思っていました。日本でも数少ないOracleDBの研修を、ミャンマー国内で実施するのは難しいと思っていたのですが、ディジーさんに相談したところ、1、2週間ほどで「OracleDBの研修ができます」という回答をもらいましたので、来日するまでの期間を、日本語教育とOracleDB研修の2本立てで独自教育プログラムを組んでもらいました。
3. 採用から入社・来日までの流れと対応
Q3. 採用から入社までのプロセスで、日本人採用と異なる点や不安はありましたか?
A3. 来日手続き以外は、日本人採用と大差ないと思います。ただ、弊社の場合は、1次面接をGICさんにやってもらいました。ミャンマー人を見る目は、岩永社長にかなう人はいないと思っていたからです。16名に絞ったところで最終選考をWEBにて実施しました。
一番心配だったのは、ちゃんと来日できるか、そこだけでした。

Q4. 来日・ビザ・住居の手配など、貴社としてどのようなサポートをされましたか?
A4. 来日・ビザの手配は、GICさんが全面サポートしてくれるので、GICさんの手順通りにやれば良い、という安心感の中でやっていました。
私たちが考えなければならないのは、住まいの準備、来日時のスケジュールでした。 とくに、来日直後にやらなければならない手続きが多いので、役所や郵便局に電話をして当日にバタバタしないように準備を進めました。
ただ、実際に一番大変だったのは、携帯電話の契約でした。 外国人に対して、携帯電話の契約がこんなに大変なのだと全然知りませんでした。 しかも、電話番号がないと、銀行の手続きもできないため焦りました。 なんとか携帯電話の契約ができた時は、とても安心しました。
Q5. ご家族の同伴や生活支援について、会社として対応されたことがあれば教えてください。
A5. 来日直後は生活費がありませんので、支度金を支給し、給与支給日まで生活できるように支援しました。住まいは一人一部屋ですが、同じ場所に寮を借りましたので、困ってもお互いを助け合える環境にしました。また、近くには別の社員が住んでいるので、本当に困った時でも、日本人社員がサポートできるようにしました。
4. 採用した人材の業務内容と活躍の様子
Q6. 採用されたミャンマー人材の方は現在どのような業務を担当していますか?
A6. 8名採用し、それぞれ別の業務に従事していただいています。 セキュリティ分野が2名、OracleDB・アプリ基盤関連に4名、AIツール構築業務に1名、そして自治体分野が1名です。全員に、日本人社員の先輩がついて業務サポートしています。


Q7. 業務に取り組む姿勢や成果、職場での評価・印象について教えてください。
A7. とても一生懸命に取り組んでもらっています。来日してOracleDBの資格を取ったり、AWSの資格を取ったり、次々に資格取得をしているので、吸収力に驚いています。
Q8. 周囲の社員の反応や、職場内での変化で印象的だったことはありますか?
A8. プロジェクトメンバーは、「吸収が速い」と言っています。
ただ、やはり日本語が上手く通じない時もしばしばあるので、言い方を変えたり、英語の単語で言ってみたりと、少し苦労しているところがあります。
5. 日本語力・文化理解・選考基準など
Q9. 日本語力や文化理解、業務への適応に関して印象的な点やエピソードがあれば教えてください。
A9. 選考基準はN2相当、という基準で募集しました。
面接をしてみると、N3でも問題なく会話できていたので、面接しながら皆で驚いたのを覚えています。業務に入ると、専門用語が出てくるので、それを覚えるのに苦労をされています。分からない日本語を調べて、メモして後で復習して、というふうに、一生懸命習得しようとされていています。そのかいあって、日本語もメキメキ上達しています。
また、ミャンマー人は挨拶の文化がない、と聞いていたのですが、日本人社員よりもしっかりと挨拶してくれるので、とても礼儀正しく、逆に日本人が見習うべきところが多いと感じます。
Q10. 日本語教育や業務上の研修など、貴社でサポートされたことがあれば教えてください。
A10. 来日までに3ヶ月を要したので、その間にGICさんより日本語教育と、日本の商習慣の教育を行っていただきました。また、OracleDBの技術研修も行っていただいたので、来日後は特別な教育をせずに、業務に入っていただくことができました。
6. 採用して感じたメリット・ギャップ・課題
Q11. 外国人材を採用して良かった点、逆にギャップや課題と感じた点は何でしたか?
A11. 想像以上に優秀でしたので、日本人社員にも良い刺激になっていると思います。
資格取得のスピードも驚くくらい速いので、日本人社員も負けないで頑張ってほしいと思っています(笑) 。
課題はやはり、語学力です。日常会話をする分には問題ないですが、プロジェクトの専門用語や日本の商習慣を覚えていくには、かなり時間がかかると思いますので、ミャンマー人社員だけではなく、日本人社員へのケアも必要になると思います。
7. 今後の外国人材活用・GICへの期待
Q12. 今後もミャンマー人ITエンジニアを採用し続けたいとお考えですか?
A12. 今回採用して、ミャンマー人の方々がとても優秀だと知ることができました。日本人社員の負担も考えながら、タイミングを見て継続的に採用をしていきたいと思っています。


Q13. GICへの今後の期待や、「こういう支援があれば助かる」と感じることはありますか?
A13. 正直、GICさんにお願いすればなんでもできてしまうので、逆にできないことはなんですか?と聞きたいくらいです(笑) 。
Q14. 将来的に、ミャンマー以外の国の人材採用も視野に入れていますか?
A14. 定着や、日本人とマッチするということを考えると、できれば他の国の方々よりも、ミャンマー人材を中心に採用していきたいと考えています。
8. ダイバーシティとこれからの組織づくり
Q15. 多様性のある組織づくりについて、貴社としてどのような考えをお持ちですか?
A15. 弊社と一緒に成長したい、と思える方でしたら、どんな価値観を持った方でも良いと思っていますので、多様性のある組織づくり、はあまり意識していません。ご縁があり、色々な価値観を持った方との出会いがあれば、それを大切にしていくだけかな、と思っています。
その結果、多様性のある組織になっていたら嬉しいと思います。
9. これから外国人採用を考える企業へメッセージ
Q16. 外国人材の採用を検討している企業様に向けて、経験者としてのアドバイスやGICのおすすめポイントを教えてください。
A16. ミャンマー人採用をするなら、GICさんに全てお任せすれば問題ないと思います。 一番の問題は、社内の理解をどう得るか、だと感じています。
やはり、外国人人材を受け入れるのは、現場であり社員です。社員の理解がないと、絶対に上手くいきません。
幸いなことに弊社は、社員が前向きに受け入れてくれ、柔軟に対応してくれましたので、初めての外国人採用も成功したと思っています。社員には感謝しかありません。


Q17. 最後に、この記事をご覧になる方々へのメッセージをお願いします。
A17. ミャンマー人材の採用を通して、会社も私自身も、とても刺激になることが多く、新しい風を入れることの大切さ改めて実感しました。
必要な人材こそが不足してくる人材です。人手不足は始まっているので、1日でもはやく優秀な人材を採用し、自社の組織をもっと強くしていかなければ、先の見えない時代を乗り越えることはできません。会社を強くすることは、日本を強くすることだと信じて、これからもより良い会社・社会を目指していきたいと思います。

株式会社エイ・ティ情報研
代表取締役 麻井智江

グローバルイノベーションコンサルティング株式会社
人材営業部長 Daisy Thang