みなさん、こんにちは。GICミャンマー代表の小林です。
9月に入り、ヤンゴンでは雨季明け前の雨が多い季節となります。停電や交通事情、街の雰囲気も変わりつつあります。本日は、ここミャンマーで感じている最新の出来事を6つのトピックに分けてご紹介いたします。
1.雨季に入り、ヤンゴンの停電状況が改善
ヤンゴンでは8月から「4時間通電・4時間停電」の輪番制が導入され、2グループに分けて電気が供給されています。雨季前は「1日わずか4時間しか通電しない」という厳しい時期もあったため、今の状況は大きな改善です。
街を歩いていても、以前よりも家庭やオフィスの明かりが灯っている時間が長くなり、少しホッとします。事前の期待値が低いと、少し改善しただけでも満足度が高まる──サービスサイエンスで学んだことを実生活で実感しました。
ただし、電力の割り当てを見ると、ヤンゴン管区が51%、マンダレー管区が17%、その他が32%と発表されており、地方にしわ寄せが行っているのが現実です。都市と地方の格差は今後も課題として残りそうです。

2.ミャンマー総選挙、12月28日開始予定
8月18日、ミャンマー選挙管理委員会(UEC)は「複数政党制による総選挙を12月28日から実施する」と発表しました。
・下院(人民代表院):小選挙区制(FPTP:First Past The Post)で330選挙区
・上院(民族代表院):FPTPで84選挙区、比例代表制(PR:Proportional Representation)で26選挙区
形式的には整っていても、実際には民主派勢力が強く反発しており、治安悪化が懸念されています。日本大使館からも注意喚起が出されており、予定通り選挙が実施できるかはまだ不透明です。
さらに、軍政はラカイン州やシャン州など一部地域に新たに90日間の非常事態を宣言。戦闘が続く地域では選挙活動自体が困難です。また「選挙防衛法」によって、選挙に関する言論や報道には厳しい規制が課され、違反者は最長7年の禁固刑もあり得るとされています。
現在、55,000台の電子投票機(MEVM:Myanmar Electronic Voting Machine)が生産されており、不足すれば追加製造されるとのことですが、透明性や信頼性については懸念の声が絶えません。

3.日本支援の新型車両、ヤンゴン~マンダレー間に投入
ヤンゴン駅に立ち寄った際に、ピカピカの新型車両を目にする機会がありました。これは日本政府の円借款による「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズI」の一環で導入されたもので、スペインのCAF社が日本製機器を採用して製造しています。
すでにヤンゴン環状線では今年2月から11編成が運行を開始しており、街中で見かけることも増えました。今回ヤンゴン~マンダレー間でも運行開始が予定されており、国際協力機構(JICA)が運転士や整備士への研修を支援しています。すでに一部区間のヤンゴン~ネピドー間は運転が開始されました。
政変以降、外国人は長距離列車に乗ることができませんでしたが、この新型車両については解禁される見込みです。飛行機や高速バスに加え、鉄道という選択肢が広がるのは朗報ですね。

4.日本からの視察が少しずつ増加
2021年のコロナ&政変以降、日系企業の撤退や駐在員の減少が続いていましたが、最近は日本からの出張・視察が少しずつ増えてきました。空港でバンコク便を待っていると、日本人の姿が以前より増えているのを感じます。
業種で目立つのは、人材(特定技能関連)、縫製業、地方都市との連携を模索する方々のようです。弊社では、8月25日から29日まで、お付き合いのあるベル・ホールディングスの中西社長をヤンゴンとマンダレーにご案内しました。
26日にはベル新宿オフィスと弊社拠点をオンラインでつなぎ、双方の社員同士で意見交換を行う時間も設けました。現地にいるからこそ感じられる雰囲気や課題感を、少しでも共有いただけたのではないかと思います。
これからは縫製・BPO・人材など幅広い分野での視察が増えていくと考えています。ITに限らず業界視察のアレンジも可能ですので、ご関心のある方はお気軽にお声がけください。

5.IT JobFair、9月28日開催!
前回告知しましたが、弊社主催の採用イベント「IT JobFair」を、9月28日(日)に開催します。
・ヤンゴン会場:ホテルにて対面開催
・マンダレー:リモート形式で実施
まだ間に合います!採用目的だけでなく、「まずは現地の人材市場を知りたい」「学生や若手エンジニアの雰囲気を見てみたい」といった視察目的でも歓迎です!
6.最後に:これまでのご支援に感謝を込めて
私事ですが、2025年9月末をもってGICを退職し、現職を離れることになりました。このブログでの情報発信は、今回が最後となります。
2014年にミャンマーに関わり始めてから12年、通算9年のミャンマー滞在となりました。今回の2回目の滞在生活を振り返ると、2021年3月クーデター直後にGICミャンマーに赴任、戒厳令下の夜間の発砲音や爆発音、銀行の取り付け騒ぎ、コロナ禍による医療崩壊と政府機関のロックアウト、悪化する停電やネット環境に悩まされた日々、スタッフと共にイベントを開催した思い出、日本から多くの方々に足を運んでいただいた経験──すべてがかけがえのない財産です。
退任後もGICを含め、引き続きミャンマーには関わってまいります。日本ではミャンマーに関する情報が驚くほど少なく、誤解や偏見も多いと感じています。だからこそ、今後も形を変えて情報発信を続けていきたいと考えています。
これまでブログを読んでくださった皆さま、セミナーやイベントにご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

小林 敏晴
GICミャンマー 代表