ヤンゴン川クルーズ船から見る、ヤンゴン川に12月に新しく架かったダラー橋と夕日

― 総選挙結果と選挙後ヤンゴンの現状 ―

はじめに

ヤンゴン在住の小林です。

2025年末から2026年1月にかけて、軍政主導の総選挙が3フェーズに分けて実施され、2026年2月現在、議席配分を含む選挙結果は確定しています。
本稿では、確定した議席数を踏まえた選挙結果の整理と、選挙後のヤンゴンの実情を、現地の体感情報も交えてまとめます。

 

① ミャンマー総選挙の結果(議席数確定)

今回の総選挙では、軍政に近い**連邦団結発展党(USDP)**が、選挙で争われた議席の大半を獲得しました。

確定した議席獲得数

  • 下院(Pyithu Hluttaw)232議席/263議席
  • 上院(Amyotha Hluttaw)109議席/157議席

いずれも「選挙で争われた議席数」に対する結果であり、USDPが上下両院で圧倒的多数を確保した形です。
なお、ミャンマーの制度上、軍は選挙とは別枠で25%の議席を保持しているため、議会全体としては軍政側の影響力がさらに強い構造となっています。

国際社会の受け止め

この選挙について、ASEANや欧米諸国、国連などは「自由で公正な選挙とは言い難い」との立場を維持しており、選挙結果を正式に承認しない姿勢が続いています。
日本政府も、選挙結果を受けた政府談話を発表し、民主的プロセスや国民の意思が十分に反映されていない点への懸念を表明しています。

ビジネス視点での整理

  • 政権基盤は選挙を通じて形式的には安定化
  • 一方で、国際的な正統性は依然として限定的
  • 規制・行政運用は「緩和」よりも固定化・制度化の方向に進む可能性が高い

② 海外出国の厳格化(継続中)

選挙後も、海外渡航・出国に関する規制は緩和されていません
特に海外就労者や一時帰国者を中心に、出国許可の取得が以前より煩雑になっており、

  • 出国前承認の厳格化
  • パスポート種別や申請ルールの複雑化
  • 再出国が認められないケースの発生

といった事例が、現地では引き続き話題になっています。

企業活動の観点では、日本への出張・研修・赴任の計画に余裕を持たせること、また書類をリスク前提に準備しておくことが、以前にも増して重要になっています。

③ 選挙後のヤンゴンの状況(現地体感)

① 停電状況

選挙期間中はほとんど発生していなかった停電が、2月に入り再び発生しています。
ただし現状は、1日あたり約4時間程度と比較的軽微で、昨年同時期に比べれば、企業活動や日常生活への影響は限定的な水準にとどまっています。

② 市内の象徴的な変化

ヤンゴン空港からダウンタウンへ向かう幹線道路 Pyay Road 沿いでは、
これまで掲げられていた国旗に加え、国旗と各州旗・地方地域旗が交互に掲げられるようになりました。

これは、選挙終了後に**「全国融和」や「多様性への配慮」**をアピールする意図があると受け止められています。

③ 為替・物価・輸入状況

市中外国為替は、当局によるMMK下落防止策の影響で、

  • 約4,000MMK/USD(3,654
  • 約25MMK/JPY(59

と、表面上は安定推移しています。
※カッコ内は銀行送金にも適用されるMarket Trading Rate

一方で、USD流出防止を目的とした輸入規制が継続しているため、

  • 輸入日用品の品不足
  • 価格高騰

は依然として解消されていません。市民生活・企業コストの双方に、じわじわとした圧迫感が残っています。

④ 市民の受け止め

選挙結果は事前にほぼ予想されていたこともあり、一般市民の関心は非常に低いのが実情です。

街の雰囲気としても、選挙後に大きな高揚感や失望感が広がっている様子はなく、生活・仕事優先の空気が続いています。

⑤ 2月の大型連休について

2026年2月は、12日〜17日までの6連休となっています。

  • Union Day:2月12日・13日
  • Chinese New Year:2月16日・17日

特に注目されるのは、従来1日だった Chinese New Year が2日間に増えた点です。
これは、ミャンマー国内で影響力を増している中国への配慮ではないか、との見方もあります。

まとめ

  • 選挙結果はUSDPの圧勝で確定し、政権運営は当面安定
  • ただし国際的な評価は限定的で、対外関係の不透明さは継続
  • ヤンゴンは比較的落ち着いているが、
    停電・輸入規制・物価高といった「生活・経済面の重さ」は続いている
  • 企業活動では、渡航・物流・人材計画において慎重さと柔軟性が引き続き求められる局面

以上

 

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