オフショア開発先としてメジャーなベトナムについて、「ベトナムオフショア開発が選ばれる理由」と「ベトナムオフショア開発の失敗例とその解決策」の2点をお伝えします。
ベトナムオフショアが選ばれる理由
日本からオフショア開発の委託先として人気がある国がベトナムです。オフショア開発先としてベトナムが選ばれる理由は以下の通りです。
一般に、ベトナムオフショア開発には以上のようなメリットがあると言われています(「ベトナムオフショア メリット」で検索をしてヒットする記事の多くが1.~6.の点に触れています)
ここで、例えば「3.日本語を話せるブリッジエンジニアがいる」について、少し解像度を上げて考えてみたいと思います。事実、日常会話レベルの日本語を話せるブリッジエンジニアはベトナムにも多くいますが、「極めてベーシックな日本語が話せること」と「日本の業務システムやアプリケーション、日本人の文化や考え方、商習慣などを一定レベル以上で理解していること」では大きな違いがあります。
当然ながら、日常会話レベルの日本語が話せるだけではブリッジエンジニアとしてはほとんど機能しません。特に開発プロジェクトの難易度が上がれば上がるほど、日本の商習慣や開発技法などを熟知したブリッジエンジニアが必要になります(例えば、当社のようにブリッジエンジニア全員が一定年数以上の日本での業務経験があるような会社かどうかを発注前に確認する必要性が出てきます)
また、「1.人材が豊富」についても、ベトナムにはITエンジニアがいることは事実です。しかし、「国」ではなく「会社」という単位で見たとき、エンジニアの在籍数に比例するように離職者も非常に多いのが実情です。その結果、せっかく日本の事業会社の開発プロジェクトを請け負っても、ノウハウが社内に残らないケースが多く見られます(従って、発注前にエンジニアの離職率についても確認をしたほうがよいでしょう。なお、一つの参考として当社の離職率は3%以下です)
様々なメリットがあるように思われるベトナムオフショア開発ですが、オフショア先の会社によっても状況は異なりますので、注意深く検討や選定が必要となります。
ベトナムオフショア開発の失敗例と解決策
当社ではオフショア開発に関するセミナーや検討/勉強会を定期的に行っています。その中で、ベトナムオフショア開発における「よくある失敗例」も話題に挙がります。ベトナムオフショア開発における典型的な失敗例には、以下のようなものがあります。
「1. バグが多く品質に問題がある」は3.とも関わりますが、発注側の仕様のまとめ方や伝え方に問題があったり、受注側(オフショア開発先)の担当者の理解度も含めたスキル不足に依存するところも多いです。「仕様を伝えたつもりだったが、実は正しく伝わっていなかった」などは非常によくあるケースです。
まずは、しっかりと文書で仕様をまとめ、Chatやビデオ会議などのツールを活用して、オフショア開発先に明確に仕様を伝えることが重要です。時には理解度を測る仕組みを入れることも効果的です。また、バグが発生した場合も、バグ発生の原因を追及するだけにとどめず、その原因の影響範囲調査まで行うことも重要です。
これら一連のアクションはブリッジエンジニアのリードの元で行われます。従って、日本企業が求めるレベルの品質管理を行えるスキルと経験を有するブリッジエンジニアをプロジェクトにアサインしてもらうことが最も重要です。
プロジェクト体制を構築するときは「スキル・経験のあるブリッジエンジニアがいるか」を十分に確認する。
「2. スケジュールが知らず知らずのうちに遅延する」はコミュニケーションギャップや「丸投げ」に起因することが多いです。ベトナムなどのオフショア先と日本とではプロジェクト管理の考え方や要求レベルが異なることも多いため、どうしても品質や管理などの考え方に相違が出てきます。
進捗管理や品質管理などについても、当該プロジェクトにおける管理基準を明確に策定して運用・管理していくとが重要です。そして管理基準をベースにコミュニケーションを適切にとりながらプロジェクト運営を行っていく必要があります。
プロジェクト管理基準を策定し、当該基準を共通言語にしながら、オフショア開発先とコミュニケーションを密に行う。
「3. コミュニケーションに苦労する(うまくいかない)」は、異文化・ダイバーシティ下ではよくおこる問題です。ベトナムオフショア開発では多くの場合、日本語・英語・ベトナム語が入り混じりながらプロジェクトが進んでいくため、コミュニケーションの問題が起きない方が珍しいケースです(逆に、発注側も受注側も英語対応が可能な場合、当然ながらコミュニケーションの問題は起きづらくなります)。
コミュニケーションを潤滑に行うためには、やはり共通言語でやり取りするしかありません。発注側が日本企業の場合、当然ながら文書も会話も日本語がベースとなるため、オフショア開発先のブリッジエンジニアやプログラマーがどの程度の日本語能力を有するかが鍵になります。
ブリッジエンジニアに加えて開発メンバーの日本語能力もしっかりとチェックする。
まとめ
以上、ベトナムオフショア開発における典型的な失敗例と解決策を見てきました。まとめると、オフショア開発を成功させるためのポイントは以下3つに集約されます。
当社では、上記3つの向上を最重要項目として10年以上にわたってオフショア開発を行ってきました。結果、日本企業のクライアントの皆さまから「日本のSIerに開発をお願いした時と変わらない感覚でプロジェクトを進められる」という声を多くいただいています。
オフショア開発に関する情報は、以下も合わせてご覧ください。
GICは10年間にわたってミャンマーを中心にオフショア開発を行って参りました。開発プロジェクトにアサインされるメンバーはPM・PLクラスはもちろん、ミャンマー現地のPGクラスまでほぼ全員が日本語の対応が可能です(GICの日本語能力や技術レベルについては こちら をご覧ください)。
GICはオフショア開発業界内でも類を見ない日本語能力の高さを活かすことで、日本語の仕様書をベースに、日本語でコミュニケーションをしながらオフショア開発を進め、オフショア開発で陥りがちなコミュニケーションの齟齬を最小化しつつ、オフショア開発のメリットである「低コスト・短納期」に加えて「高品質」なシステム開発を実現しています。GICのオフショア開発に興味のある方は、ぜひお気軽にお問合せください。