
(ショッピングセンターではValentine’s Day,やChinese New Yearに合わせてイベントを開催)
ミャンマー最新情勢:総選挙後の「日常」と見えないリスク
2026年2月現在、ミャンマーでは大型連休(建国記念日等を含む6連休)が明け、平穏な日常が戻っています。連休中にはグウェサウンなどのビーチリゾートに1万人以上の国内観光客が訪れるなど、都市部では活気も見られました。

(ヤンゴンから一番近いNgwesaung Beachは旅行先の定番)
しかしその一方で、「都市部の日常」と「戦闘地域の深刻な状況」という二極化は一層鮮明になっています。経済の中心地ヤンゴンの最新状況を、現地で生活する視点から整理します。
1. 政治・治安:形を変えた統治と散発的リスク
総選挙を経て、軍政側は「上位機関」を創設するなど、形式的な民政移管の枠組みを整えつつ、実権を維持する制度設計を進めています。
ヤンゴン市内ではショッピングモール、飲食店、オフィスなどは通常通り稼働しており、生活・通勤は可能です。ただし、軍・警察・行政関連施設周辺や軍系とみなされる施設付近では、小型爆発物などのインシデントへの警戒は続いています。
体感としては「普通に暮らせるが、油断はしない」という状態です。
2. 電力インフラ:停電前提の生活
選挙期間中に抑えられていた停電は、2月に入り1日4時間程度の計画停電が再開しました。ただし停電のない日も多く、昨年よりは改善傾向です。
過去の厳しい電力不足を経験しているため、家庭や企業ではバッテリー、インバーター、ソーラーパネル、発電機の導入が進んでおり、「停電を前提とした生活スタイル」がすでに定着しています。
停電はニュースではなく、生活条件のひとつです。
3. 金融・経済:現金流動性への警戒
現在、最も実務的に影響が大きいのが現金引き出し制限です。中央銀行はドルや金への投機抑制を目的に、2月5日より現金引き出し制限を開始しました。
- 銀行ごとに1日200万チャット(約8万円)程度の上限
- 現金決済依存企業では資金繰りに影響
- 手数料を払って現金化する代行業者の利用増加
2021年のような現金枯渇状態ではありませんが、「自由に引き出せる安心感」はありません。企業も個人も、より慎重な資金管理を行っています。
4. 入国・検疫:健康チェックとビザ事情
ヤンゴン国際空港では、インドでのニパウイルス報道を受け、健康スクリーニングが強化されています。
また、SNS上ではVisa on Arrivalが中断されているとの情報もあります。正式発表は確認されていませんが、事前ビザ取得が安全です。
空港の雰囲気自体は落ち着いており、手続きが慎重になっている、という印象です。
5. 社会・文化:若者の活気とコントラスト
政治的な緊張とは対照的に、都市部の若者の活気は健在です。
バレンタインデーや春節は完全に定着したイベントとなり、TikTokなどのSNSには華やかな投稿が溢れました。ヤンゴン市内では装飾やイベントも多く見られます。
その明るさが、地方の戦闘地域とのコントラストをより際立たせています。

(ミャンマーでは男性から女性へ花束やプレゼントを贈ることが一般的)
6. その他のトピックス:変化するインフラと規制
① ミャンマー・韓国友好橋の開通
韓国ODAで建設されていたヤンゴンとダラー地区を結ぶ「ミャンマー・韓国友好橋」が、2月7日より一般車両通行開始、13日から正式有料開通しました。
これまで日本が寄贈したフェリーや渡し舟が主要交通手段でしたが、橋の開通により移動時間は大幅に短縮されました。
ダラー地区の地価や開発動向にも影響が出る可能性があり、都市拡張のひとつの象徴的な出来事といえます。

(開通直後のダラー橋。自動車では3分程度で橋を渡ることができ、移動時間が大幅に短縮。)
② 電子タバコの輸入・販売禁止
2月18日より、ミャンマー国内で電子タバコの輸入・販売が禁止されました。若者の使用急増が理由とされています。
隣国タイ同様、日本からの持ち込みも禁止対象になる可能性が高く、愛好者は注意が必要です。
規制は突然始まり、突然厳格化される。これも現在のミャンマーの特徴のひとつです。
まとめ:変化の中で続く「現実的な日常」
現在のミャンマーは、
- 制度を固める政治
- ゼロではない治安リスク
- 停電を織り込んだ生活
- 現金制限下の資金管理
- 若者文化の活気
- 進むインフラ整備と突然の規制
これらが同時に存在しています。
外から見ると不安定に映るかもしれません。しかし現地で暮らしていると、人々は驚くほど現実的で柔軟です。
状況を受け入れながら、今日を回す。停電があれば発電機を回し、橋ができればすぐに利用し、規制が出れば対応する。
「不安定」と「たくましさ」が共存しているのが、今のミャンマーです。
変化は続いています。
その中でも、街は動き、人は働き、若者は恋をし、家族は休日に海へ向かいます。
この等身大の現実を、今後も現地からお伝えしていきます。