第2回「イワトモはFDE?」
なんといっても2回目は、ミャンマーでの「現場主義」です。
2006年秋に初めて渡緬して以来、ちょうど20年が経ちました。今回は9/21(月) Yangon In、9/24(木) Outの3泊6日(機中泊2泊)でした。最近は概ね1回/月のペースで渡緬しており、お客様やビジネスパートナー、社員、大学関係者(校長先生ほか)などとお会いすることが多くなっています。今回ももちろんそうした予定がありますが、Mainの目的の1つは、10/11(日)に開催する「ミャンマーIT Job Fair 2026」の事前打合せと、その後のBusiness Modelの展開です。
15回目のミャンマーIT Job Fair
このJob Fairは、コロナ禍にも負けず今回で15回目となります。私は2006年に初めてミャンマーを訪れ、その後長年にわたり、ミャンマーのIT人材、特に大学生や若手エンジニアと関わってきました。しかし、この20年間でミャンマーを取り巻く環境は大きく変わりました。特に現在は、AIの急速な進展によるグローバル、そして日本でのIT系新卒採用の減少があります。さらにミャンマーでは、2021年のクーデター後、CDM(Civil Disobedience Movement)などの影響もあり、学生の大学離れやモラトリアムともいえる状況が続いてきました。
そのような環境もあり、2012年以来、弊社1社で実施している説明会としては、現時点での申込者は約400名弱という状況です。一方で、日本で「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格を取得して働くことを考えると、大学での専攻や実務経験、またIT分野では対象となる情報処理技術に関する試験・資格などが重要になります。そのため、ミャンマーでも改めて大学で学び、卒業することの重要性が認識され始めていると私は感じています。来年度以降の卒業生から徐々に増えていくのではないか、今年が人数的には底ではないかと私は見ています。
さて、前置きが長くなりました。今回の本当のテーマは、FDE(Forward Deployed Engineer)です。FDEとは何なのか?FDEという考え方でよく知られている企業の1つが、米国のPalantir(パランティア)です。最近では日本でもFDEという言葉を目にする機会が急速に増えてきました。
私自身も3~4ヶ月ほど前から、このFDEという考え方に強く注目し、「GIC Groupにも、この考え方を適用できないだろうか?」と考えてきました。私なりにFDEを非常に簡単に表現すると、「顧客の現場に入り、顧客と一緒に課題を見つけ、IT/AIを使って解決策を考え、それを実際に動くところまで持っていく人材」です。単にお客様から仕様書を受け取ってSystemを開発するエンジニアとは少し違います。「何を作るか」そのものから、お客様と一緒に考える。そしてAI時代には、自分自身がすべてをProgrammingするのではなく、AIやさまざまな人材、さらには国内外の拠点を組み合わせて、顧客の課題を解決する。私は、これからのIT/DX/AI企業にとって非常に重要な人材像だと考えています。
GCGを「FDEの入口」にできないか?
そこでChatGPTやClaude AIとも何度も壁打ちをしながら、GIC GroupでどのようなFDEを育成できるのかを考えてきました。その結果、現在、GIC Myanmarの100%子会社であるGCG(GIC Career Gateway)についても、2026年度から入学していただく人材のBusiness Modelを大きく変えようとしています。目指すのは、将来日本のお客様の現場で活躍できるFDE人材の育成です。しかも、私はFDEをエンジニアだけのものとは考えていません。例えば、Technical FDEは、IT/DX/AIを武器にして、お客様の現場で課題解決を行う。一方、Business FDEは、経理/総務/人事/経営企画などの業務経験を持ちながら、AIを活用してお客様の業務そのものを変えていく。GICには日本にもミャンマーにも、こうした管理部門の実務を10年以上経験している社員がいます。ですから当初、私が考えていたシナリオは、「エンジニアだけではなく、社内管理部門もBusiness FDEを目指そう!」というものでした。ところが、ChatGPTやClaude AIと壁打ちをしているうちに、少し予想外の方向に話が進みました。
「岩永さん自身がPrincipal FDEです」
Claude AIから、こんな指摘を受けました。
「岩永さんご自身が、GIC唯一のPrincipal FDEです。」「顧客の現場に入り、何を作るべきかを決め、人とAIと拠点を組み合わせ、定着するまで責任を持つ」
最初に読んだ時の感想は、「えっ、私がFDE?」でした。私にとっては、少々意外な指摘でした。私はこれまで、自分自身をFDEだと考えたことは一度もありません。そもそも「FDE」という言葉を強く意識するようになったのも、この3~4ヶ月です。ところが今回ミャンマーに来て、2006年の初渡緬から20年間、自分が何をやってきたのかを改めて振り返ってみました。
振り返ると、確かにFDEかもしれない
ミャンマーに来て、お客様の話を伺う。
現地の大学や人材を確認する。
日本のお客様が何を必要としているのかを考える。
ミャンマー人エンジニアを採用し、教育する。
日本とミャンマーを組み合わせて開発体制を作る。
必要であれば会社そのものを作る。
そして現在は、宮崎/ヤンゴン/マンダレーを組み合わせたハイブリッドショアや、そこにAIをどう組み込むかを考えている。考えてみると、
「顧客の現場に入り、何をするべきかを考え、人とAIと拠点を組み合わせ、実際に動くところまで責任を持つ」
という仕事は、確かに私が長年やってきたことに近いのかもしれません。
「FDE」という職種名は新しい。
しかし、その仕事の本質まで新しいわけではない。そう考えると、Claude AIから「Principal FDE」と言われたことにも、少し納得できるようになりました。しかし、もっと重要な指摘がありました。
Claude AIとの壁打ちでは、もう1つ、私にとって重要な指摘がありました。それは、
「社員370名にFDEになれと求める資料を作りながら、ご自身の職種だけが承継計画から抜けていた。」という指摘です。これは、かなり考えさせられました。
確かに私は、
「これからはFDEだ」
「Technical FDEを育てよう」
「管理部門もBusiness FDEになろう」
と社員に言っています。GCGでも、そのための人材を育てようとしています。
ところが、「では、私自身がやっている仕事は誰が引き継ぐのか?」という視点が抜けていました。
経営者である私にとって、これはFDE以上に重要なテーマかもしれません。
10/11 Job Fair、そして10/23 FDE Kick Offへ
10/11(日)には、15回目となるミャンマーIT Job Fairを開催します。
そして10/23(金)には、GIC Groupの社員に対して、FDEについて1時間のKick Off Meetingを行う予定です。そこで私が社員に伝えたいのは、
「全員、明日からFDEになれ」
という話ではありません。
エンジニアであれば、Technical FDEを目指す。経理/総務/人事/経営企画などの管理部門であれば、Business FDEという道もある。そして、その先には、顧客の経営課題そのものに入り込み、人/AI/技術/拠点を組み合わせて解決するPrincipal FDEという役割もある。AIによって、これまで人間が行ってきた仕事の一部が大きく変わることは間違いありません。だからこそ、AIによって仕事がなくなることを心配するだけではなく、AIを使って顧客の課題を解決する側に回ろう。これが、今の私がGIC Groupの若い社員に一番伝えたいことです。
次の20年へ
2006年秋、イワトモは初めてミャンマーに来ました。それから、ちょうど20年。2026年、再びミャンマーの現場にいるイワトモは、AIから突然、「あなたはPrincipal FDEです」と言われました。でも、本当に重要なのは、私がFDEなのかどうかではありません。これまで20年間、ミャンマーをはじめとするさまざまな現場で経験し、失敗し、考えながら身につけてきたものを、どう次の世代に渡していくのか。
そして、次の20年を担うFDEを、このミャンマーから何人育てることができるのか。今回のミャンマー出張では、そんなことを考えています。だから第2回のタイトルは、「イワトモはFDE?」です。答えは、もう少し現場で考えてみたいと思います。
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登壇者プロフィール

グローバルイノベーションコンサルティング株式会社
代表取締役社長
1984年 日本IBMへ入社し、システムエンジニア、営業、営業部長を歴任。
その後、中国・ミャンマーを中心とした海外事業責任者を経て、
2011年 Global Innovation Consulting株式会社を設立。
現在 日本・宮崎・ミャンマーを結ぶハイブリッドショアモデルを推進するとともに、AI・モダナイゼーション・グローバル人材活用を軸とした企業変革支援に取り込み。
イワトモ
代表取締役社長